予告された殺人の記録
ガルシア・マルケスの、『予告された殺人の記録』を読みました。
とある片田舎の町で、実際に起こった事件をもとに書かれた中編です。
主人公がとある恨みで殺害されるまでのわずかな時間を、様々な登場人物の回想も交えて書いた小説で、それを中南米特有の風土なども交えてフィクショナルに描いています。
中南米の小説を読むと、私の子供の頃の記憶が蘇って来ます。雑多なガラクタが転がっていた民家の庭先、雨が降ると水溜まりだらけになったデコボコ道、そこら辺を歩き回っていた野良犬。
ガルシア・マルケスの小説は確かに複雑ですが、そういった風土感を楽しむ気持ちで読んで行くといいと思います。
登場人物はすべてその町の住民なので、みんな顔見知りで、犯人が主人公を殺そうとすることはあっという間に広まります。にも関わらずその殺人は止まることなく突き進んで行きます。
周りの人たちの、ちょっとした思い違いや感情のもつれなどが取り返しの付かない事態に拍車を掛ける、といった感じです。
興味があったら読んでみて下さい。