会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

ジョーカー製造装置

私は職を転々としていた頃、もちろん派遣社員も経験しました。


そしてその時期は、仕事人生のなかでも3本の指に入るぐらいクソな時期でした。


派遣で入って来た仕事というのは大体倉庫的な作業が多いです。荷物の仕分けや、プラッターでの運搬作業などです。


すべてのそういう職場がガラが悪いというわけではないですが、それに食品関係という前置きが付くと、ほぼ確定的です。殺伐とした空気、しかめっ面をして働く従業員、床に落ちて潰れた食品の箱。すべてが災いの予感を孕んでいました。


職場内の秩序はあって無いようなもので、例えば仕事のことで聞きたいことがあったとき、まともに答えが返って来ることはまずありません。仕方なく自分の思ったやり方で仕事を進めようとすると、


『違う、そうじゃない!』などと、如何にも勿体を付けた言いっぷりで、それなら最初から素直に教えときゃいいだろう、と鼻で笑いたくなることばかりです。


その職場の主には正社員を置いていることが多いのですが、その人とは普通に話が出来る感じでした。そしてその人も、派遣の人の入れ替わりっぷりには困っているようでした。


曰く、『ウチら(会社側)は充分な金額を(派遣側に)出してるんだ、だから賃金が安い、ということはあちら側の問題だ』などと嘆いていました。要は1人当たりの払っている金額は、正社員とそんなに大差はない、ということです。


まあもちろん、派遣業もただで業務をこなす、ということは無理なので、幾らかの経費を取るのは仕方ないことと思います。ですがそれが必要以上の金額ということになると、これは問題となります。


当時はまだ派遣業というものの黎明期で、色んな業者が乱立していたと思います。そのなかには、取り敢えず目先の利益を追い求めていた業者もいたことと思います。というか、殆どがそれだったと思います。


いまではそういう業者ばかりではないとは思いますが、結局人間の考えることなんて、自分さえよければいいというエゴに依るものばかりなので、派遣業と呼ばれる業種は法律の改悪によって出来た悪しき制度だと思います。


いままで起きた白昼の通り魔による殺人や、ジョーカーの模倣犯などの事件は、将来への展望がまったく持てない、派遣に似た業態が引き起こした事件と言えなくもないのです。


『派遣業=ジョーカー製造装置』、と大げさに言い切ってもいいぐらいだと思います。

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