わが悲しき娼婦たちの思い出
ガルシア・マルケスの最後の小説、『わが悲しき娼婦たちの思い出』を読みました。
- わが悲しき娼婦たちの思い出
- 新潮社
- 本
90歳を迎えた主人公が、誕生日に若い処女を狂ったように愛したい、と決心して物語が始まって行く小説です。
なんとまあ、日本の小説からは想像も出来ないブッ飛んだ話です。またその話に周りの人間がよく付いて行ってます。ラテンアメリカ人特有の、細かいことを気にしないで進んでいく気質のせいでしょうか。
ですがその気質が、日本というしがらみの多い社会でせせこましく生きている身には、なんとも羨ましく感じるところもあり、本当にこんなことが出来るなら素晴らしいな、と感じてしまいます。
ガルシア・マルケスといえば有名なのは『百年の孤独』という大作で、それは若い頃に買ってあり、まだ手を付けていません。セミリタイヤしたら読もうと思って取ってあるのですが、まだ自分自身が完全にセミリタイヤ出来たと感じていないので、いまは短編などから手を付けて行ってます。
ですが短編も、もの凄く『濃い』です。南米の牛の臓物などを煮込んだ料理を思い起こさせる『アク』の強さで、実際にそれ食べれるのか?と思いがちです。
ですが読み進めて行くと、物語を通じてその世界を体験しているような不思議な気分になります。実際、中南米の気質がもしかしたら私のなかにも隠されているのかも知れない、なんて思ったりしますね。昔はよくそっちの国の人間に間違われたりしました(要するにソース顔ということです)。
まるで夢のなかで展開されるような流れのお話しですが、そういうものを読み進めるのが苦にならない人にお勧めです。