会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

ベロニカは死ぬことにした

芥川賞を取った市川さんの、『ハンチバック』、読了しました。


ハンチバック (文春e-book)
ハンチバック (文春e-book)
文藝春秋
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先天性の難病で介助を受けながら生活している女性の、現実世界へのカウンターパンチ、といった内容です。


女性が主人公になっている作品ということで、こちらを思い出しました。


ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)
ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)
KADOKAWA
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パウロ・コエーリョの、『ベロニカは死ぬことにした』です。


タイトルがまずいいですよね。ニヒルな感じがして。


ですが読みやすい小説、とはいえず、随分読み通すのに時間が掛かったと思います。その原因は、主人公の告白体で進むというわけでなく、作者のそれに置き換わっていたり、作中の博士のような人の考察に変わっていたりと、目まぐるしく移り変わって行くことです。


また現実と妄想の境目が区別出来ず、どこからどこまでを現実のストーリーと捉えていいのかわからない点も、ちょっと閉口しました。そういうものでも面白いものはあるんですが、この作品の場合はそれが成功していないと感じました。


私の場合はその作家が気に入ったら続けて他の作品も読み進めて行くのですが、この作家の場合はこの一冊でいいや、と思ってしまいました。タイトルの持つ拡がりを、内容がうまく受け止められていない、という感じです。


タイトルに名前負けしてしまう小説、というのはありますよね。そのタイトルからして、期待して読み進んで行くと、「?」となるような。


作者の狙いがどこにあるかはわかりませんが、抱かせた期待を萎ませるような内容のものだけにはして欲しくないと思います。

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