会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

こんにちは、curiosです。


以前に新聞の文芸欄を見て気になっていた、星野智幸の、『焔(ほのお)』を読みました。


焔 (新潮文庫)
焔 (新潮文庫)
新潮社


焚き火の前に集まった9人が、それぞれ自分のなかの物語を語りながら、語り終えた瞬間に、消えて行く、という内容です。


内容は荒唐無稽なものですが、とにかく読みやすいということに一番感心しました。読者に物語を届かせようとする心遣いが良かったです。


日本文学の悪い点は、難解な内容のものが横行しており、それを有難がるような風潮も感じられるところです。


ですが、どんなに素晴らしい世界を持っている小説でも、文章がたどたどしかったり、そこに辿り着くまでに読者を飽きさせてしまったら元も子もないと思います。日本のサービス業ではないけど、読者をそこに惹き付ける気遣いは、すこしは必要と思います。


内容は日本の近未来の世界を舞台にしていて、温暖化や環境破壊が進み、退廃的になった人々のストーリーを描いています。半分夢物語的なものもありますが、とにかく読み易いので、違和感無く読了してしまった、という感じです。


登場人物は皆な、社会からドロップアウトしてしまったような主人公ばかりで、そういう人を描くことで、この社会の搾取の構造を浮かび上がらせているような感じがします。


機会があったら是非読んでみて下さい。

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