夢も希望も見出せない頃
先日雪が降っているなか走っていたら、昔よく使っていたコンビニの跡地が廃墟になっているのを見てすこし悲しくなりました。
その頃は派遣で工場の交替勤務をしていました。年齢は30半ばで、人生の針路になんの夢も希望も見出せない頃でした。
その頃はまだタバコを吸っていました。やさぐれた心境に、タバコでも吸ってなきゃやってられない、という感じでした。
そこのコンビニには、仕事の帰りによく寄っていました。仕事が終わって、好きなものを買って帰るということで、ルンルン気分で立ち寄っていたような気がします。
そしてついでにタバコも買っていました。全部並べてレジをすると、大体1000円は超えていたと思います。
ですがその当時は工場勤務をしてたので、そのぐらいのお金は躊躇なく払っていました。むしろなにかにお金を使うということが、空虚な心を埋めてくれる行為だったように感じます。
そしてカウンターの女性が、レジ横に置いてある100円ライターを、自分は買っていないのに、レジ袋に入れてくれました。
えっ?と言うと、「いつも寄ってくれるからサービス」、
とのことでした。
その女性はその店のオーナーで、昔はよくあった一階は店舗で二階に住居、という店舗形態だったと思います。
そこのコンビニはお客はよく入っていたみたいです。ですが自分も工場勤務を辞め、またタバコも止めてしまったので寄る機会は少なくなってしまいました。
そして近隣店との競合(そこは駐車場が狭いのがネックでした)に負けたのか、いつの間にか閉店していました。今でも店舗型住居は残ったまま、雑草とイタズラ書きに埋もれています。
夢も希望も見出せない頃、自分の心の隙間を確かに埋めてくれた存在が、いまや廃墟となりつつある。
そんな思いが逆流し、すこしアンニュイな気持ちになってしまいました。