これは〇人カーではないか?
中国のBYDから発売された、小型EVドルフィンのインプレを読んでいたら、とある記述に目を疑いました。
表題にも書いてある通りの、過小評価できぬ中国の「ものづくり力」という論評で記事は進んで行きます。
ですが後半のあたりの、
『一方で、「これは、改善が絶対に必要だ」という点もあった。それは、高速で追い越し車線から走行車線に戻る時に、ハンドルが突然とられる問題である。これは、前の遅い車を追い越し車線で追い越し、再び走行車線に戻るときに、車の後方センサーが、まだ、追い越した車が左後方近くにいると判断し、ドライバーが左に切ったハンドルに急に介入し、反対側にハンドルを切ろうとする動作だ。走行車線に戻ろうとしたのに、自分に意志に反して、追い越し車線側に「跳ね返される」イメージだ。』
という一節にはビックリしました。遅いクルマを追い越した後、走行車線に戻ろうとするとき、ドライバーの意思に反してハンドルが反対側に戻される現象が起こる、といったものです。
インプレした識者も、
『自分に意志に反して、追い越し車線側に「跳ね返される」イメージだ。』
とも書いているのです。
・・・これって、恐ろしくないですか?高速道路などで、かなりの速度が出ているときに、このような挙動が出たとしたら、パニックになってしまうドライバーも出て来るやも知れません。
識者もサラッと書いていますが、これは重大な事故に繋がる欠陥だということを、認識しているのでしょうか?
その点をBYDの担当に報告したところ、
『同様のクレームは他の顧客から来ており、ディーラーへの持ち込みでソフトを書き替え、この問題を改善するとの回答であった。ここは、至急、対応をお願いしたいところだ。』
としています。
こんな大それたことを、こともなげに書いているあたり、モータージャーナリストとしての見識は大丈夫かと疑いたくなります。
最後は、こんな感じです。
『この高速でのハンドル介入の問題は気になるが、それ以外は、下馬評通りの実力だった。』
高速でのハンドル介入の問題が、他のすべてを打ち消してしまうほどの大問題なのに、それをことさら大ごとにせず、下馬評通りなどと締め括るのです。
これが日本のメーカーが作ったクルマだったら、これは欠陥車だ、こんなものを出すメーカーの見識を疑わざるを得ない、なんて正義の味方ぶった締めで終わる筈です。
中国の自動車メーカーの脅威をまくしたてる論調が最近多いですが、こんなことをやっている限り、日本メーカーと対等の土俵にも登れないと思うのですが。