会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

現実を見るとこうなる

漫画などで見る、古代の戦場を舞台にしたバトルストーリー。


幾つか読みましたが、どれも私の心には響いて来ません。


迫力がないとか、ストーリー展開が似たり寄ったりとか、そういう問題ではありません。


彼らは各地を転々とし、様々な敵やモンスターと戦っています。


そしてその漫画のなかで描かれるのは、華麗な剣や武器を使った『エレガントな戦い』です。


戦というのはそういうものの繰り返し、という風に描かれています。


ですが実際の戦を考えてみると、そればかりではありません。


というか、そんな『エレガント』な面はほんの一部です。


まず兵糧の問題、というのが浮かび上がって来ます。豪傑な戦士たちが幾人もいて、兵糧を補給せずに戦えるわけがありません。


数々の戦記漫画は、そこをまったく素通りしています。


また、戦地まで移動するときの、具体的な手段というのも大問題です。沼地や湿地を通り抜けたりもするし、毒を持った生物に噛まれ、命を落とす者も出てくるはずです。


実際に、戦争に行きたいと志願する人のなかには、戦争の『戦い』という、いちばん華やかな面にフォーカスしている人が多いと聞きます。テレビや漫画で見る、アドレナリンが湧き上がってくるような戦闘の場面、そこだけに魅せられて、自分もそれを体験したい、という安易な考えを持つ人が多いようです。


ですが実際は、それ以外の、疫病に罹ったり、不衛生な環境で身体の一部が腐ったり、兵糧不足で飢えや渇きに苦しんだり、そういうことの方が多いそうです。また兵員同士でのストレスから来る小競り合い、これも地味に効くと思います。


よって、戦争漫画や戦記漫画の壮大なストーリーに魅せられて、自分もあんな経験をしたいなんて思う人は、いい面しか取り出していない作者の戦略に、まんまと嵌っていると言わざるを得ません。また、ゲームなどで同じように考えている人も然りです。


戦争というのは、華やかな部分より、惨めな部分や、ジメジメして救いようのない部分の方が圧倒的に多いのです。


戦記漫画や古代の戦闘ゲームに夢中になっている御仁は、そこのところを理解していないのが致命的です。


戦争というのは、こういう観点から見ても、二度と起こしてはいけないのです。

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