会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

一匹のトンボに教えられること

こんにちは、curiosです。


静岡県が今回の台風のいちばんの被害地域だったようで、静岡西部では土砂崩れによる死者も出ています。また河川の増水も今までにないぐらいで、今後は何処でこういう災害が起きてもおかしくないな、と思いました。


日中になり、小雨になっては来たのですが、あまり出掛ける気になれず、外でぼんやりと景色を眺めていたところ、風に乗って一匹の赤トンボが流されて来ました。



私の足に貼り付き、なんとか踏み止まろうとしています。


この雨できっと体力を使い果たし、あとは命運が尽きるまで残された時間を過ごすのでしょう。


実際人間の眼の届かない場所で、いろんな生き物が最期を迎えていると思います。雨のなかで朽ち果てたり、鳥の餌食になったりもするでしょう。でもなんとなく、そういう最期の瞬間は、どんな生き物でも、畏敬の念を持って迎えられていると思うのです。


私も、このトンボに対して、畏敬の念を抱かずにいられませんでした。最期の瞬間というのは、どんな生き物でも、この世界に対してある種の輝きを発すると思います。


家のすぐ裏にある野原でも、そんな命の饗宴みたいなものが繰り広げられているんだと思いました。名も無き生き物が、名も無き対象物によって、葬り去られ、弔われている。


そして彼らは、死ぬときには後になにも残しません。地位も、名声も、財産も、なにも。


元から持っていないというのもありますが、そんなものを持たないでも死ぬことに特別不都合はないからです。


財産をひたすら築き、銀行の預金口座にゼロが幾つ並んだなどと言っても、死ぬときは数多の生き物と一緒です。


自分がその境地に到達出来るのは、あとどれぐらいでしょうか。

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