永遠なる序章
セミリタイヤ民の重要な趣味のひとつとして、読書があります。
若い頃はよく本屋に行ったものですが、それはやがて古本屋となり、最終的には図書館となりました。
それは収入の差によるものが大きいです。
昔は気になった本は、本屋やアマゾンですぐに入手していました。それだけ読みたい本があったし、手に入れることになんの躊躇いもありませんでした。
ですが、ハードカバーの本になると、1500円、2000円と、ちょっとした金額です。それを毎回となると、流石に負担になって来ます。
ちかくのブックオフでは、運がよければ読みたい本が見付けられることがあり、今度はブックオフで探すようになりました。
ですがそれでも、自分が読みたい本、すなわちちょっと通好みの本というのは、やはり金額も高く、そんなにお得でもないことが多いのです。人気作家の本も、それなりの相場をキープしてることが多く、ブックオフで買っても、そんなに割安じゃないことに気付き始めました。
そして最後の安住の地として、図書館に通うようになりました。
図書館は、なによりもタダ、というのがポイントが高いです。
蔵書はすこし古臭いですが、それでもじっくりと探せば、興味を惹かれそうなものが存在しています。
今回は椎名麟三という、前から読んでみたいと思った作家の本を選びました。

『永遠なる序章』という、著者の代表作といわれるものです(画像は文庫ですが、自分が借りたのは全集です)。
ひとりの青年が、肺の病気(恐らく結核)に掛かり、余命が2ヶ月という、その間のことを書いた話です。
戦後間もない頃で、皆貧しく、生活に困窮していて、すべての登場人物の脳裏に、死というものが存在しています。
そんななかで、主人公の青年は、幸せを感じるというのが主題で、恐らくドストエフスキーの影響を受けていると思われます。
ドストエフスキーの『地下室の手記』、『悪霊』、そのあたりに、おなじような主人公の心の動きが描かれていたと思います。
話自体はとても陰鬱で、救いがないのですが、著者の文体がスラスラと読めてしまうので、不思議と完読出来てしまいます。
椎名麟三は、生前、日本のドストエフスキーと呼ばれていたということで、なるほど、と納得させられました。
しばらくこの椎名麟三の本を読んで行こうと思います。