あの鐘を鳴らすのはあなた
前回の登山で、矢倉岳山頂に、登山サークルのような方々が大勢集っていました。
16名のパーティで、年配の女性の方が大多数で、それを統率している男性スタッフが一人、あともう一人ぐらい男性がいました。
想像が付くと思いますが、年配の女性が多数いるパーティは、それはもう賑やかです。咲いている花のことや、持って来ているお弁当のことや、普段やっている活動のことや、話しに切りがありません。
そんななか、一人の男性は、話しに加わらず、所在無さげに佇んでいます。
その男性に、私はシンパシーのようなものを感じてしまいました。
それと同時に、女性というのは寄り集まると途轍もないパワーを発揮するんだなということも、改めて感じました。
話しの内容は、耳を澄ませて聞いてみると取るに足らないものばかりです。
ですがそれを機関砲のように垂れ流すことによって、傍観者の男性を、なんとなく除け者にしてしまうような空気を醸し出しています。
男性は、別に話すこともないのでそこに佇んでいるのですが、そのせいでなんとなく居心地が悪くなるという塩梅です。
私はもともと独りだったので、そんな和気藹々の空気にも乗らず、独りコーヒーを飲んだり、景色を楽しんだりしていました。
なんとなくその男性が、私のことを羨まし気に見ているのを肌で感じました。
昼食を食べ終わり、下山すべく立ち上がります。
そしてその男性と目が合ったので、お先です、と挨拶をしました。その男性も、こんにちは、お疲れさまです、と返してくれました。

去り際に、山頂に新たに設置された鐘を(意図的に)カランカラン、と鳴らしてみました。
女性たちの頭上に掛かっている邪念を振り払おうとしたのですが、うまく行ったでしょうか?