会社生活を駆け抜け(た)日々

55歳でひとまず会社生活に区切りを付けたその後の日々

フーテンの寅さんの「フーテン」って

この間アマゾンプライムで『男はつらいよ』シリーズを見たのですが、いままで見ていなかったのが惜しいほど面白く感じました。


若い頃は、どうせありがちな人情劇だろう、なんて敬遠していたのですが、歳を取って来るとああいうやり取りが身に染みます。また寅さんが自分自身をどうしようもない人間だという風に捉えていることが、ダメ男の悲哀を感じさせていいです。あれが自分を優れた人間と思っているとなると、まったく共感を得られないただのクズ男になってしまうので。


さて、フーテンの寅さんの『フーテン』ですが、一体どういう意味なのかわかりますか?私はなんとなく、根無し草的な意味合いかと思っていました。話の筋に合っているし、響きもそんな感じがします。


ですがフウテンと仮名を入力して変換してみると、『瘋癲』となるのです。この瘋癲というのは、精神疾患のことらしいのです。昔の精神病院のことを、瘋癲院と言っていたこともあります。


こうなると、意味合いが大分違って来ます。瘋癲の寅さん=精神病の寅さん。なるほど、寅さんがぶらりと予告もなく帰って来て、周りの人の生活を掻き乱し、そしてまた去って行く、この一連の流れは瘋癲病患者のそれと言われてもおかしくありません。


そして、昔の日本は、こういう人も社会の一部として認めていたというか、大らかな目で見る優しさがあったんだな~、と思った次第です。


まあこのフーテンの寅さんの場合は、定職を持たずにブラブラしている人、ヒッピー的な人、という位置付けだったらしいですが、それでも語源が『瘋癲』だったならば、発案者はこういう所から物語が始まるということを理解していたんだな、と思います。


優れた人も、劣った人も、天才も、凡人も、五体満足な人も、不具な人も、すべてが同時に存在して物語のようなものを作って行く。


それがこの世界の面白さです。

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