時間を停止させてしまいたい
山を歩いていると、この場で時間を停止させてしまいたい、という衝動に駆られることがあります。
景色のよい場所ではなく、あまり日の当たらない、ジメジメしたような場所。
そこは決して牧歌的な雰囲気ではないので、一般の人だったら足早に通り過ぎてしまうでしょう。
でも自分は、そういう場所に来ると、たまらなく愛おしく感じてしまうことがあるのです。
それは自分の歩んで来た人生の道のりによるものだと思います。
そういった場所を、自分の安住の地のように感じてしまうのだと思います。
ただしどこでも、というわけではありません。
日の入り方、樹々の種類、草の密度、その配置によります。
そういう場所に来ると、この場で時間を止めて、自分の目のなかに映っている景色を永遠に留めて置きたい、という衝動に駆られてしまいます。
ここは俺の魂の安住の地だ、ということになるのかも知れません、カッコ付けて言えば。
悪く言えば、ナメクジのよう、ともいえます。
あまり褒められた道のりを歩んで来ていないので、ナメクジのような人生観が身に付いてしまっているのかも知れません。
ナメクジでなにが悪い?とも思います。
いつかその風景のなかにひっそりと融け合い、文字通りナメクジのように消え去ってしまうのではないかと、半ば期待を込めて夢想しています。