漫画 サピエンス全史 文明の正体編

- 漫画 サピエンス全史 文明の正体編
- 河出書房新社
- Digital Ebook Purchas
前回の『人類の誕生編』に続き、『文明の正体編』を読んでいます。
じつに示唆に富んだ内容です。
人類は狩猟を捨て、農耕に移行したおかげで、現在のような文明社会を築き上げることが出来るようになりました。
食物を貯蔵することが出来るようになり、食べ物の心配をする必要が無くなりました。これがいちばん大きいメリットだったと思います。
それとその食物を貨幣のように使うことが出来るようになりました。貯め込んで置けばそれがいざという時の交換物資にもなります。
その頃から人類の雲行きが怪しくなっていきます。
もっと効率的に穀物を収穫するにはどうすればいいか、そんな考え方が支配的になり、それがもっと穀物(=資産)を貯め込みたい、そんな欲望となって増大して行きます。
いままではなかった隣りの農家との境界線が区切られ、競争意識が芽生え始めます。隣りよりももっといい生活を、もっと沢山の資産を、という具合に、人類の悪癖ともいえる、見栄と欲望の仕手合戦が繰り広げられます。
ここから現在の社会に至るまではそう遠い話しではありません。
この本のなかで印象に残ったのは、農耕民族になりかけた夫婦が、まだ狩猟民族のままでいようとするいとこ夫婦のもとに遊びに行く、という下りです。
農耕民族の夫婦は、自分たちの暮らしの方が効率的で、進んでいる、だからお前も農耕を始めろよ、と勧めます。
ですがいとこ夫婦は、そんな土地に縛られた生活はゴメンだ、と拒否します。
そして農耕民族の夫婦が次第にいとこ夫婦に野蛮人とレッテルを貼り付け、
「このネアンデルタール人めが、」
と捨てゼリフを吐きます。
このことからも、人類は異なる主義や思想に対して、寛容といえず、次第にそれを排斥しようとする攻撃性を見せることがわかります。
そしてそれは農耕型社会の最先端といえる現代に於いては、もっと複雑で難解なものになっています。
どうすれば、こんなこんがらがったシステムから脱却出来るのか?
それはいまのところまだわかりません。ですが私的には、いまの状態が取り敢えずはシステムから『降りている』ことになっているとは思います。
この著者に続く気鋭の思想家の登場を待ちたいと思います。